昔、フォント弄りサイトと言うのがありました。
- 平成22年 3月29日 公開
昔、平成10年代前半にフォント弄りサイトと呼ばれる読み物サイトがありました。
例に依って多数現われた事で、痛烈に批判されたものでしたが、今日思えば、発想自体は間違っていなかったと思うのです。
いや、フォント弄りサイトからも、学べる事は多いと思うのです。
- 批判するだけで何も学ぼうとしないようでは、ただの賢者気取りの愚者でしかありません。何も学ぼうとせずに口先で批判するだけなら小学生でも出来る程度でしかないからです。いや、向上心のある小学生なら、そこからも何かを学ぼうと意識を働かせる筈です。
フォント弄りサイトとは?
フォント弄りサイトとは、平成10年代前半に普及した読み物サイトで、テキストの色, 大きさ或いはフォントを変える事を多用したサイトの事です。
大抵は黒い背景に、<font>要素などを用いて笑ってもらいたい箇所などの色や大きさなどを変えるなどしておりました。
平成10年代前半には既にCSS第一水準は一通りのウェブブラウザに実装され、少なくともフォント弄り程度であればPC向けの当時の現行ブラウザではどれでも実現は可能でした。
ですが、まだCSSが普及していなかったからか或いはCSSに適したマークアップと言う概念が定着していなかったからか、殆どのフォント弄りサイトが<font>要素などに頼り切ったものとなっておりました。
フォント弄りサイトに対する批判。
フォント弄りサイトは、まだウェブログが普及する前にテキストエディタやホームページビルダなどローカルで使うオーサリングツールで作られておりました。
あるテキストサイトが爆発的な人気を得た事で、雨後の筍のようにその手法を真似たサイトが多々作られておりました。
しかしその一方で、批判も決して少なくなかったようです。
と言うのも、フォントを弄る事で笑いのポイントを示そうとするのですが、読者としてそこで笑えないと言うケースが決して少なくなかったからです。
終いには、笑いを強要するな!とまで言われる始末で、そうなると当然アンチフォント弄りを標榜する人たちも現れる事となりました。
フォント弄りサイトの衰退。
そんなフォント弄りサイトも、平成10年代半ばには決め手となるようなサイトが現われなくなり、徐々に衰退して行きました。
ですが、衰退の決め手となったのはやはりウェブログの普及でした。
ウェブログはサーヴァ側で用意したオーサリングシステムと言う側面が強く、そのため今までウェブで自分の思うところを発表するのに敷居の高さを感じて躊躇っていた一般の方も多数利用するようになりました。
彼らの多くはテキストを弄る事を考えず、テキストをベタ打ちしたものを投稿して記事を作ります。
勿論、ウェブログもテキストを弄れるようにはなっておりますが、先ず記事の公開と考える利用者は殆どその機能を活用せずに記事を作成します。
その結果、今日のウェブログでは、フォントが全くと言って良いほど弄られていないケースが大半となっております。
今日では、フォント弄りサイトは殆どが姿を消しました。
- いわゆる電波系のサイトにはまだあるみたいですが。
発想としては間違っていなかったフォント弄り。
フォント弄りについては、初めの述べた通り否定的な意見も少なくなかったのですが、制作者はその発想は間違っていなかったと思っております。
何故なら、笑いのポイントのフォントを弄ると言う発想は、笑いのポイントをマークアップすると言う事に他ならないからです。
非推奨とされる<font>要素などを好ましいマークアップに移行させるために、そこは何故フォントを変えるのか?と問い、適切な論理インライン要素でのマークアップとスタイル指定を行うよう仕向ける事があります。
フォント弄りサイトの制作者たちは、そう訊かれたらここで笑わせたいと明確に答えられた事でしょう。
つまり、彼らは論理マークアップの概念に近い発想で物理マークアップをしていたと言えるのです。
問題だったのは笑いを強制する事。
結局のところ、問題だったのは笑える箇所でもないのにそこで笑えとする事でしょう。
ですが、笑いを求めるサイトでなくても、このような問題は起こり得ます。
例えば当サイトのように、独自研究を発表する場であれば、読者に笑いを求める必要はありませんが、その代わり読者に伝えたい要点が各記事にあります。
そう言った要点となる箇所を特別なスタイルでレンダリングしてもらいたいと言う判断から<strong>要素なり<mark>要素なりとしてマークアップするのは、決して間違った発想ではありません。
勿論、これもやり過ぎると目立たせたテキストだらけになってしまって、要点が要点に見えなくなってしまう恐れはあります。
多数現われたフォント弄りサイトの場合もそうでしたが、結局のところ、伝えたい内容を絞り込んで文書化する事が必要だったのでは無いでしょうか。
そして、そのような文書を書く技術は決して仕様書やDTDなどで規定出来るような代物ではないのです。
今日のウェブログの場合。
初めに述べた通り、フォント弄りに代わってウェブログが台頭して今日に至った訳ですが、ウェブログの場合はどうもテキストをマークアップすると言う発想を持った制作者は余りいないようです。
そのせいか、ダラダラと長い文章が続く場合、抑揚のないテキストが延々続く事となり、読んでいても要点か見えてこない場合も少なくありません。
結果、ウェブログでの長い記事は押し並べて読み難くなるのです。
テキスト内の要点を目立つようにマークアップすれば、伝えたい事が一目で分かるようになるでしょう。
勿論、やり過ぎるとフォント弄りウェブログと化してしまうのですが。
結論。
フォント弄りについては否定的な意見も少なくなかったのですが、マークアップの概念を(間違った形とは言え)身に付けていると思います。
逆に今日のウェブログの大半が、ダラダラと抑揚のないテキストが並んで要点が掴み難くなっております。
ここを知ってもらいたいと言うつもりで文書を公開する方は、是非<em>要素(HTML 5なら<mark>要素)などを活用する事をお奨めします。
- 但し、過ぎたるは猶及ばざるが如しです。やり過ぎは批判を呼ぶので程ほどに…。
余談・HTML 5がネオ・フォント弄りの時代を拓く!?
- こんな事を書くと、アンチHTML 5が都合良く曲解して持ち出すかも知れませんが。
HTML 4/XHTML 1でも、
- <cite>要素…出典(拡大解釈で書籍や作品などの題名も)
- <dfn>要素…定義語(拡大解釈で定義を伴わない専門用語も)
- <q>要素…インライン引用(拡大解釈で台詞なども)
- <abbr>要素…略語(拡大解釈で顔文字など読み方が特殊な語句も)
- <em>要素…強調(紙テキストであれば傍点を打つような強調)
- <strong>要素…より強い強調(紙テキストであれば太字で書くような強調)
などと言った論理インライン要素が定義されておりますが、HTML 5では更に幾つかのインライン要素が定義或いは再定義されております。
以下に主なものを挙げておきましょう。
- <cite>要素…出典・書籍や作品などの題名
- <dfn>要素…定義語
- <q>要素…インライン引用
- <abbr>要素…略語
- <em>要素…強調
- <strong>要素…重要なフレーズ
- <mark>要素…目立たせたフレーズ
- <i>要素…専門用語や人の台詞など、通常のテキストと異なったスタイルを想定したテキスト
- <b>要素…キーワードなど、通常のテキストと異なったスタイルを想定したテキスト
- <small>要素…注釈など、通常より小さく或いは軽いスタイル表現を想定したテキスト
個人的に気になったのは、<mark>要素です。
目立たせたフレーズと言うのは、まさにフォント弄りには打って付けの要素です。
しかも、class属性と併用すれば、様々なフォント弄りを利用出来るようになるでしょう。
個人的に、<mark>要素は非常に有用な要素だと思っておりますが、<mark>要素だらけのネオ・フォント弄りサイトが現れやしないか不安でもあります。
もっとも、今日のウェブでは、フォントを弄る事を面倒だと思っている方も多いので、杞憂で済むのでしょうけど。
制作者の場合。
制作者は<font>要素は全く使っておりませんが、しかしCSSで様々なフォントスタイルを導入しております。
その所為か、どうも制作者もフォント弄りの気があるようなないような。
或いは制作者自身が既にネオ・フォント弄りの実践者になっているのかも知れません。
- 制作者の場合、フォントサイズやフォントをインラインで弄る事は殆どありませんが、前後のテキストも弄ったりしますし、無理矢理JAVAスクリプトで傍点を打ったりもしております。
- HTML 5を採用するようになってから、<mark>要素を濫用しているような気がします。